今年は前職のカカオ研究所を辞め、「CACAOGOTO」、「BTB Japan協会」を立ち上げたりと激動の1年でした。
振り返るといろんなことがあったので、月ごとに印象的だったことを綴っていこうと思います。今後更新していくブログの目次?のようなものとして読み流してください。
1月:Bean To Bar Japan協会設立
2022年パリのサロン・ド・ショコラ祭典で、フランスのビーントゥバー協会を知り、その活動に感銘。設立者であるLa Baleine à CabosseのAurélienさんに話を聞き、日本で活動するにあたって、ぜひ参考にさせてもらいたいとお願いしたところ、快く承諾いただき設立した経緯があります。カカオ研究所での経験により、個々で頑張ることの限界を感じていたところ、フランスの協会に出会ったことで、Bean to Barムーブメントが落ち着いていた日本市場に少し違った風を吹かせることが出来るのではないかと。そして、大手企業でもなく、東京でもない、地方のメーカーの一員だった私が協会を立ち上げることで、周りの反応がどうなるのか興味が湧きました。コロナ禍で大きく自身の考え方が変わったこともあり、今までとは違った動き、そしてまだ経験したこともない未知の世界に飛び込みたくなったのでした。
東京サロン・ド・ショコラ視察
久しぶりに新宿伊勢丹のサロン・ド・ショコラに行きました。
チョコレートやお菓子としてだけでなく、カカオ果肉などを使い、料理や日本食材とのコラボレーションしたレストランのブースなど、カカオ研究所で開発した、モレソースや海苔チョコなどとリンクするメニューが提供されていました。
やはり都会はプレゼンテーションが違いますね。洗練されていて、ちゃんと修行をした方々の技術と盛り付けセンスは美しい。地方ではなかなかハードルが高そうですが、マーケットを知れてとても刺激になりました。
2月:カカオ研究所がチクスキで特集、食のチカラ、あさイチ出演
バレンタインに向けて、メディア出演が多かった月でした。
地元情報誌チクスキさんは、カカオ研究所を6ページわたって大特集していただき、食のチカラでは食通の元V6長野さんがカカオ研究所に来店。クイズコーナーでは大盛り上がりでした。
あさイチは生放送だったので、早朝5時からリハーサル。朝が苦手な私としては、ハードな一日だったのでした。
3月:第2回Bean To Bar Chocolate Market開催
地元福岡県飯塚市の本町商店街の井筒屋跡地ヲソラホンマチにて、マーケットを開催しました。
2回目は1回目よりバージョンアップしたいなと思って、Bean to Barチョコレートメーカーだけでなく、クラフトコーヒー屋さんやピザ屋さん、パン屋さんなど、同じくこだわり職人の方々にも参加いただきました。毎回反省点はありますが、少しでも地元が盛り上がってくれて、お客さま、参加者みんなが楽しんでくれることを一番なので、できる限り続けていきたいなと思っています。
4月:ドミニカ共和国でカカオマスタークラス参加
2023年最大の出来事だったと確信できる感動的な時間でした。カカオ研究所の経営者が変わり会社を離れることを決心したのはいいが、今後どうしていこうか悩んでいたので、何かヒントが見つかるかもしれないと、すがる思いで参加しました。もちろん、カカオ、チョコレートの知見を広げる目的もありました。
日本人は私だけで、英語ネイティブの人達の中での会話についていけるか心配ではありましたが、素晴らしい先生や仲間と一緒に学べたこと、世界最先端の思考に触れたこと、朝から晩までカカオについて語り合ったこと、何事にも代え難い一生の財産になりました。
濃すぎる日々をここではすべて書ききれないので、今後のブログで更新していきたいと思います。
5月:アメリカで寄り道&カカオごと構想のはじまり
ドミニカ共和国は日本から直行便がないので、アメリカ経由したのですが、帰りはラスベガスよってアンテロープキャニオン、サンフランシスコのダンデライオンチョコレート本店に行ってきました。狭いキャニオンの上部からは日光が差し込み、幻想的に照らし出す美しい光景の中で撮った画像は圧巻。
その後、サンフランシスコに行って、ビーントゥバーメーカーなら誰もが憧れる本場のダンデライオンチョコレートのファクトリーツアーに参加。
思った以上の規模で製造しており、ビジネス拡大中の勢いを感じました。
ツアーの最後に意見交換もできて、体系的にビジネスを組み立てて実行していくパワー、アメリカ人の意識の変化、ビーントゥバーチョコレートへの興味度の違いなど教えてもらうことができました。
帰国してすぐ、私の人生の経験を書きだすアウトプットを行いました。ありがたいことに、こんな状況の私でも協力してくれる方々がいてくれて、何度もキャッチボールをしながら、インサイトを引き出してくれました。時間だけはたっぷりあったので、いろんな本を読んだり、何度も自分の中で自問自答を繰り返しながら、作り上げていきました。人生でこんなにも自由に未来のことを考えたことがなかったなと。楽しくもあり、難しくもあり、初めて体験する複雑な心境でした。
6月:カカオごと商品開発スタート
日本の素晴らしい食材を取材する旅に行きました。海外から安く食材が輸入されることで日本の伝統的な魅力ある食文化がなくなっている現実があります。そんな現状を少しでも変えて、日本の魅力を継承していけるようなブランドでありたい、そんな想いで和歌山県の山椒農家のきとら農園さん、徳島県の服部製糖所さんに伺いました。
お二人ともたくさんの壁を乗り越えて今があるのだということ、食材を育てるにあたってのこだわりや今後の展望をお伺いすることが出来ました。生産者あってこそ、商品を作ることができること、現場を見て直接話すことで、ネット上だけでは知ることができない雰囲気を感じ取ることができました。
7月:カカオ茶碗開発スタート
九州北部を襲った7月10日の大雨。福岡県東峰村では「小石原焼」の窯元42軒のうち、11軒が被災しました。昔からの知人である、小野窯元の小野さんの工房と窯も全壊し、本当に胸が痛む出来事でした。小野さんにカカオ茶碗を作っていただきたかったのですが、今の状況では難しく、復興したら必ず作ってくださいと約束し、親戚の森山寛山窯さんをご紹介いただき、開発スタートすることにしました。
少しでも復興のお役に立てるよう、頑張ろうと心に誓ったのでした。
8月:山小屋を部分リノベーション&カカオごとロゴ完成
小さい頃、祖母が畑やお客様のおもてなしの場として使用していた山小屋。祖母が使わなくなって以降、倉庫として使っていたのですが、自身のアトリエとして使えるよう、一部リノベーションしました。
壁や床に使う素材の色や質感など、ちょっとこだわってみました。特にチョコレート作りに欠かせない、中央の石板が気に入っています。ここで新たに再スタートできるように頑張っていこうと気合が入ったのでした。
構想をスタートしてから、あらゆる角度から日本文化を見つめ勉強し直しました。子供の頃からお稽古していた茶道から、本当に多くの日本ならではの文化や考え方に繋がっていきます。茶道は日本の総合文化とも言われており、奥が深く、簡単に理解することはできません。それはカカオにも通じることでもあり、特に香りは重要な要素。香りを楽しむ日本の伝統文化、香道で源氏物語をテーマとした組香、源氏香図のように「CACAO」を表現し、シンボルマークとしたロゴが完成しました。
9月:東京チョコレートサロン出店&カカオ茶碗と着物リメイク完成
渋谷ヒカリエで行われたチョコレートイベントに、ビーントゥバー協会として出店しました。共同出店は初めてだったので、メーカーさんとのやり取りなどで大忙しとなりました。やはり、頭の中のイメージと実際にやるのはズレが生じるもの。思った以上に準備に時間がかかり、後ろのブースだったkiitosオーナー夫妻が手伝ってくれました。
ほんと素晴らしい方々に助けられて、いろんなことが実行できていると改めて実感するイベントでした。
7月からスタートしたカカオ茶碗、森山窯元さんも初めての試みで、とても苦労しながらの開発でした。茶碗に練り込むのではなく、殻を灰にして釉薬として使用。茶碗にコーティングすることで、釉薬の独特な色合いが現れます。
同時進行で、着物のリメイクも行っていました。タンスの中に眠っていた着物を、NYで活躍しているテイラーのTaeさんにリメイクしてもらいました。アクセサリーがあると素敵ですねとアドバイスいただき、こちらもタンスに眠っていた、祖母のアクセサリーに着物の生地を合わせて一体感を出してもらいました。
新しいものも素敵ですが、古き良きものを大事にする心は常に持っていたいと思います。
10月:欧州チョコレートイベント出店
パリのサロン・ド・ショコラ祭典、ポルトガルのポルトで行われたチョコレートイベントに参加しました。
パリはとても華やかで、ポルトガルはカカオ生産者やビーントゥバー関係者ばかりだったので、それぞれで各会場ならではのお互い密な交流をすることが出来ました。4月のマスタークラスで出会った仲間も集まり、今までとは違った体験となりました。
朝から晩まで話し続ける2週間で疲れましたが、とても充実した日々で、とても楽しかった。盛りたくさんの内容だったので、こちらも今後のブログに更新していきたいと思います。
11月:世界のカカオ関係者の日本来日&再試作の日々
今年出会ったビーントゥバー仲間が日本に来日しました。フランスのビーントゥバーメーカー、La Fèverie by Hasnaâのご家族、ドミニカ共和国のInaruオーナーErika、皆さん日本が大好き。滞在期間中、とても楽しんでいただけました。
地元福岡にある南蔵院。実は一度も行ったことがなかった私。やはりこの大きさは圧巻ですね。案内するといいつつ、一緒に楽しんでいました。
ヨーロッパで販売したカカオごとの商品、お客様からのご意見を反映し、日本で販売するにあたって、再度レシピや商品構成を考え直していました。海外と日本では志向が違うので、それも考慮した商品開発。
先月の華やかな日々とは真逆の毎日。山小屋で黙々と試行錯誤する日々が続きました。
イベントでいろんなカカオ豆サンプルをもらったので、そちらも試作。今まで知らなかったカカオ豆を試すのは楽しく、あっという間に時間が過ぎていきました。
12月:念願のカカオ豆納品
5月から進めていた日本ではまだ知られていないカカオ豆の輸入、本当に大変でした。半ば諦めかけていたのですが、いろんなハードルを乗り越えて、やっとアトリエに到着しました。何事も諦めず、いろんな方向性で解決する方法を最後まで考えること、体感した出来事でした。カカオ生産者が大事に作ってくれたカカオ豆が、どのような味わいを出してくれるのか、ワクワク感いっぱい。より美味しく、魅力的な商品に変身させ、来年ついに日本のお客様にお届けします。
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