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​読みもの

焙煎は、カカオへの問いかけ

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

浅煎りと深煎り、その香りの旅



珈琲を淹れるとき、 パンが焼けるとき、 あの香りが漂ってくる瞬間があります。


食欲をそそる、あの感覚。


実はあの香りは、「メイラード反応」という化学反応によって生まれています。アミノ酸と糖が熱によって結びつき、香りを生み出す。焼き鳥もステーキも、美味しそうな香りの多くは、この反応によるものです。


カカオも、同じです。


焙煎という熱によって、 発酵と乾燥の過程で豆の中に蓄積された物質が、 はじめて香りとして解放される。


だから焙煎は、カカオへの問いかけです。 この豆は、どんな香りを持っているのか。 どこまで引き出せるのか、と。



1000種類の香りが、眠っている


カカオ豆が焙煎されることで生まれる香りは、1000種類以上といわれています。


残したい風味、引き出したい風味。 そのバランスを考えながら、 最終的な香りをイメージして焙煎を行う。


温度と時間は、カカオの品種、水分、サイズによって大きく変わります。


正解はなく、その豆との対話の中で、 最適な答えを探し続けるしかない。


また、焙煎の可能性は想像以上に広い。 パリで出会ったチョコレートメーカーの中には、 料理の手法をカカオに応用し、 同じ豆からまったく異なる香りを引き出しているブランドもありました。


焙煎は、まだ誰も知らない香りへの、 終わりのない探求でもあります。



チュンチョ豆と向き合う



カカオごとが選んだペルー産チュンチョ豆は、 香りの成分がとても豊かで、 焙煎による振れ幅が、他の豆とは比べものにならないほど大きい。


少しの温度や時間の違いで、 まるで別の豆のような顔を見せます。


ただ、この豆の焙煎は、本当に難しかった。


チュンチョはサイズがとても小さい。 そして、カカオ豆は脂肪分が多く熱が回りやすいため、 一般的な食材とは違い、焙煎前後で色の変化がほとんど出ません。


見た目では判断できない。 だから、香りと感覚だけを頼りに、 細心の注意を払いながら焙煎を重ねました。



浅煎りと深煎り、ふたつの答え



試行錯誤の末に、ふたつの焙煎にたどり着きました。


浅煎りは、明るく、果実のような清らかさ。 深煎りは、深く、大地を感じるような力強さ。


同じ豆から生まれたとは思えないほど、 異なる表情が現れます。


そしてこの答えは、今年のチュンチョ豆だからこそ出たものです。 収穫年度の状態、気候、湿度によって、 最適な焙煎は毎年変わります。


今この季節の豆が持つ、今だけの香り。


ぜひ、浅煎りと深煎りを飲み比べながら、 その違いを自分の感覚で確かめてみてください。




 
 
 

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