top of page

​読みもの

カカオの第二の生命

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

カカオハスク茶碗が生まれるまで


※この茶碗は、カカオハスク釉薬の最初の試みとして、小石原焼・森山寛山窯との協働で生まれたものです。現在は唐津焼バージョンが誕生し、その物語は新たな章へと続いています。



チョコレートを作るとき、 カカオ豆の外側を覆う薄い殻——ハスク——は、取り除かれます。

それは、チョコレートにはなれない部分です。


上質なものはカカオティーとして楽しまれることもありますが、 すべてを使い切ることはむずかしく、 静かに、廃棄されていくこともある。


このハスクを、器にできないか。


そんな問いが、カカオハスク茶碗の始まりでした。



約束から、始まった



相談しようと思っていた窯元があります。 福岡県東峰村で小石原焼を手がける、昔からの知人、小野窯元さん。


けれど、相談の前に、知らせが届きました。


2023年7月。九州北部を襲った大雨により、 東峰村では11軒もの窯元が被災し、 小野さんの工房と窯も、全壊してしまったのです。


言葉を失いました。


それでも小野さんは、前を向いていた。

「復興したら、必ず一緒に作りましょう」


その約束を交わし、 小野さんのご縁で紹介いただいたのが、 親戚にあたる森山寛山窯さんでした。


こうして、カカオハスク茶碗の開発が始まりました。



灰になるまで、二日間



カカオハスクを釉薬に使うためには、まず灰にしなければなりません。


釉薬とは、陶器の表面を覆うガラス状のコーティングです。 美しさと、強度と、耐水性を与えるもの。


これが、想像をはるかに超える作業でした。


ハスクに含まれる水分と密度、そして湿度が重なり、 灰になるまでに、2日間燃やし続ける必要がありました。



なんとか灰になったハスクに、長石や石灰を混ぜ合わせ、 水を加えて撹拌し、ろ過して、上澄みを取り、 また撹拌する—— その工程を何度も繰り返し、 一晩以上熟成させてはじめて、釉薬が完成します。



微妙な材料の比率によって、色合いも変わります。

試行錯誤の中で、少しずつ、茶碗のための色が生まれていきました。



形への、こだわり



カカオごとでは、カカオ100%のチョコレートにお湯を注ぎ、 茶筅で点てた「カカオ一服」をお届けしています。


だから茶碗には、溶けやすさと、点てやすさが必要でした。 香りが立ちやすい広さ、持ちやすい重さ、見ていて美しい佇まい。


行き着いたのは、平茶碗という形。


シンプルで、静かで、手の中に収まる。 毎日の暮らしの中でも、 特別な一杯のときにも、 自然に寄り添える器を目指しました。


成形の段階では、職人の手の感覚が重要です。 粘土の微妙なバランスを取りながら形を整えていく技術は、 一朝一夕では習得できないもの。


今まで使ったことのないカカオハスクという素材を受け入れ、 伝統的な技法と組み合わせて美しい茶碗を作り上げてくださった 森山窯元さんへの感謝は、言葉では言い尽くせません。


捨てられるはずだったカカオの殻が、 職人の手と火によって、器になる。


カカオの第二の生命と呼ぶのは、 そこに、素材の尊さを感じるからです。



カカオごとの店頭で、ぜひ一度手に取ってみてください。


カカオハスクの釉薬が生む、静かな色合いと、 手のひらに伝わる、その重さを。


 
 
 

コメント


bottom of page