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​読みもの

ソロモン諸島のカカオと出会う旅

  • 2024年12月19日
  • 読了時間: 4分

更新日:22 時間前


Guadalcanal, Solomon Islands 2024


カカオごとでは、ソロモン諸島のカカオ豆を輸入しています。

そのご縁から、オーストラリア政府が支援するプログラムの一環として、ソロモン諸島を訪問する機会をいただきました。


日本からソロモン諸島までは片道20時間以上。

豊かな自然と多様な文化が息づくこの国で、カカオをめぐる人々の想いに触れる旅が始まりました。



カカオへの情熱に溢れる農家



最初に訪れたのは Amazing Grace Cocoa Farm



農園に足を踏み入れてまず感じたのは、その清潔さでした。

人が通る場所には枯れ葉が残らないよう丁寧に掃除がされています。

想像していた以上に整った環境に、少し驚きました。

その佇まいが、オーナーであるグレース・フェカウさんという人を、会う前から伝えていました。


グレースさんは小柄ながら、話す言葉に芯があります。

夫を亡くした後、小さな農園からひとりでカカオ栽培を始め、20年以上かけて今の形に育て上げた人です。


現在では "Amazing Grace Boutique Cocoa & Garden Tour" として、カカオ栽培体験やソロモン諸島の伝統料理を振る舞うアグリツーリズムの場となっており、その料理にもカカオ素材が使われています。


観光客を受け入れながら、カカオと食文化を同時に伝えている。

年齢を感じさせないバイタリティと人徳が、この農園を支えていました。



私たちはカカオポッドを割る作業を体験し、農家の日常の一部を直接感じることができました。


カカオ豆が手元に届くまでに、どれだけの時間と手間がかかっているか。

その重さを、産地に来るたびに思い知ります。



カカオと日本の味の出会い



今回の訪問では、ソロモン諸島のカカオ豆を使って作ったカカオ100%のチョコレートドリンクを、現地の生産者の方々に振る舞いました。



カカオごとのスタイルとして、和三盆や柚子を使った和菓子と共に提供しました。



自分たちが育てたカカオから作られたチョコレートを、生産者自身に届ける。

その場にいられたことは、とても特別な体験でした。


和三盆を口にした生産者の方々は、みんな静かに、じっくりと味わっていました。

その場では大きなリアクションはなく、正直どう受け取られたのか少し気になっていました。


ところが後日、イベントで再会した時に「和三盆、本当に美味しかった」と改めて伝えてくれた方が何人もいました。

口の中でほろりと溶けるあの繊細な甘さは、じっくりと時間をかけて心に届いていたようでした。


カカオを通して、異なる文化が静かに交わる瞬間でした。



生産者との対話



別の農園では、家族でカカオを栽培しているアグネスさん一家を訪ねました。


ソロモン諸島では、家族単位でカカオを育てている農家が多く、収穫、発酵、乾燥といった工程を家族で協力して行っています。


アグネスさんは努力家で、家族への想いが言葉の端々に滲む人でした。



訪問の中で、アグネスさんが歌を披露してくれました。

魂のこもったその歌声を聞きながら、カカオに人生をかけている想いに、胸を打たれました。


技術の話や品質の話だけでは伝わらない、生産者の生き方そのものがそこにありました。



現地チョコレートイベント



訪問中には、ソロモン諸島で開催されたチョコレートイベントにも参加しました。


このイベントでは、現地メーカーが自慢のチョコレート製品を発表し、カカオ産業の発展を目的とした交流が行われました。



私はチョコレートコンクールの審査員として参加しました。



まだ発展途上ではあるものの、ソロモン諸島産カカオを使った製品の多様性と品質の高さに、大きな可能性を感じました。



ソロモン諸島カカオの個性



ソロモン諸島のカカオは、独特な遺伝的多様性を持っています。


中でも多く見られるアメロナード系統は、フォラステロ系統から派生した品種でありながら、太平洋地域特有の気候と土壌の影響を受け、独自のフレーバープロファイルを持つカカオとして世界のクラフトチョコレートメーカーから注目されています。


カカオごとでも、このカカオの魅力を活かしたチョコレート作りを続けています。



島の暮らしと文化



訪問中、ホニアラからボートで3時間ほどの島で、伝統的なお祭りにも参加しました。


各家庭が魚や芋などの食材を持ち寄り、村の人々と分け合う時間。携帯の電波も届かないこの島では、家族やコミュニティを大切にする暮らしが今も続いています。


カカオは、こうした日常の中に深く根ざしている作物です。


グレースさんの農園の佇まいも、アグネスさんの歌も、村のお祭りの食卓も——その全部が、カカオという素材の背景にある景色です。



カカオがつなぐ未来



今回の旅を通して感じたのは、カカオは素材である前に、人と人をつなぐものだということです。


生産者の技術と誇り、家族の時間、地域の文化——そのすべてが積み重なって、チョコレートになります。

だからこそ、その背景まで含めて届けることが、カカオごとの役割だと考えています。



 
 
 

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