発酵と旨味
- 5月18日
- 読了時間: 3分

醤油を探していました。
カカオと合わせるための、醤油を。
けれど探してみると、添加物の入っていない醤油は、思っていたよりもずっと少なかったのです。
カカオごとは、添加物や着色料を使わずにチョコレートや菓子を作っています。だから醤油も、同じように丁寧に作られたものを使いたいと思っていました。
そんな中で出会ったのが、地元の金芳醤油製造元でした。
100年以上続く醤油蔵。2022年には、伝統的な木桶仕込みを復活されたそうです。
微生物の力を借りながら、ゆっくりと発酵させる。一年以上の時間をかけて熟成させる。
その話を聞いていると、どこかカカオに似ていると思いました。
時間を受け継ぐこと

醤油の歴史を辿っていくと、第二次世界大戦後に大きく変化したことも知りました。
昔ながらの製法は、失われかけた時代があったそうです。
それでも残そうとした人たちがいて、今につながっている。
そう思うと、当たり前のように口にしている醤油の見え方が、少し変わりました。
カカオもまた、発酵や乾燥に多くの時間と手間を必要とします。
添加物を使わないこと。時間を急がないこと。
効率よりも、風味の奥行きを大切にすること。
金芳醤油さんと話していると、ものづくりへの向き合い方に、共鳴するものがありました。
似ているのは、製法だけではないのかもしれません。
発酵とは、時間の記憶のようなものだと思いました。
Umamiという言葉
近年、「Umami」という言葉を海外で耳にすることが増えました。
カカオの世界でも、フレーバープロファイルを作る際に、「旨味」という項目が加わるようになっています。
けれど、日本人が感じる旨味と、海外の人が感じる旨味は、少し違うように思います。
味噌。
醤油。
出汁。
日本には、時間をかけて生まれる味とともに暮らしてきた文化があります。
発酵や熟成の記憶が、幼い頃から感覚の中に積み重なっている。
旨味とは、味だけではなく、時間そのものなのかもしれません。
それでも、「Umami」という言葉が世界共通語になっていくことを、興味深く感じています。
三種の錦玉

発酵と旨味をテーマに、金芳醤油製造元の無添加醤油を使って、三種の錦玉をつくりました。
「金芳(薄口)」には、エクアドル産のバニラビーンズを。
「奥紫(再仕込み)」には、大分県産の香信椎茸を。
「日響(八方だし)」には、ペルー産のカカオニブを合わせました。
すべてにカカオティーを用いています。
バニラ、椎茸、カカオニブ。それぞれ異なる香りと余韻を重ねました。
発酵の蔵で

五月。金芳醤油さんの蔵で、海外のお客様を迎えてワークショップを行いました。
工場を見学したあと、その醤油を使ったカカオ菓子とともに、カカオごとセレモニーをひらきました。
発酵の場で、発酵から生まれた菓子をいただく。
場所と味が、静かに呼応しているようでした。
五月末のオンライン茶会では、この菓子をそれぞれの場所で味わいます。
離れた場所にいても、同じ時間を囲むように。
発酵という時間の積み重ねを、ひと口の中に感じながら。
